変わったねお前

田舎に帰ると家族に会える。懐かしい友達に会える。通学路や昔住んでた借家、星に詳しいおじさんの家、よく遊んでくれたお姉ちゃんの家、墓、深夜の海を巡っては昔の懐かしい記憶が蘇る。でも哀しくもなる。人や物がその時のまますぎて成長してなくて、私の方がおかしいのか、私の価値観が変わり果てたのか心配になる。
 何十年も一緒に育ってきた幼馴染と話す時、彼女や彼らが話題にする地元のゴシップや仕事の愚痴についていけない時がある。それに面白さを見出せない時がある。話していることのレベルが低すぎて、私たちの年齢でそんなこと話すの?気にするの?と考えてしまう。昔はこんなんじゃなかった。どんなにアホでくだらない話題も共感したし、心の底からその時を楽しいと思ってた。歳を重ねてまだ”そこ”にいる友人を目の当たりにすると、これが田舎から一歩も出たことがない者の姿かと思ってしまう。彼らが彼女らがどうでもいい人間ならこんなに悩まない。私にとってすごく近しい人間だからこそ距離感に戸惑う。
 私がこう思うと同時に彼らも思っているだろう。あいつは変わったって。変わらないものなんてないけど、私たちのこの関係は変わらないでいて欲しい。ずっと近くにいたいな。先に手を離すのはどっちなんだろう。